ABOUT

HISTORY

一楽旅館は戦後の1950年(昭和25年)に建てられた、元東遊郭の面影を留める旅館です。1946年(昭和21年)の好娼制度廃止により、遊郭という制度は終焉を迎えたため、実際に遊郭だった歴史はなく、創業時は赤線時代(※)の特殊飲食店として、多くの男女の逢瀬の場として利用されました。1958年(昭和33年)に売春防止法が完全施行されてからは特殊飲食店としての営業を終え、改装ののち、旅館として現在に引き継がれております。
1950年の開業時に建てられた建物の東側は当時の風情をそのまま残し、1958年に増築された西側もまた、昭和の空気を留める、趣深い建物です。戦後の復興第一世代の建築として、また遊郭の趣を残す建築として、その意匠や空気感にぜひ触れていただきたく存じます。

※公娼廃止指令(1946年)から、売春防止法の施行(1958年)までの間に、半ば公認で売春が行われていた地域のこと。

写真:室内

FEATURES

遊郭らしい艶を感じる意匠と
昭和の空気を感じる空間。

玄関を入ると吹き抜けの回廊が中央部分が吹き抜けになっており、1階部分は池を中心に回廊がめぐる作りに。大きな石に縁どられた池は鯉が悠々と泳ぎ、涼しげな水音がお客様をお出迎えいたします。2階の回廊には瓢箪や扇の形の下地窓が開き、赤線時代当時を想起させます。各居室の入口に施された、部屋の名前に由来したあしらいもまた、趣と風情を感じさせる魅力ある意匠です。

居室も一部の部屋は開業当時と変わらぬ姿を留めており、赤線時代の空気に触れることができる空間となっております。お泊りの際はぜひ、各所に残る当時の名残りに、想いを馳せていただきたく存じます。